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東洋眼虫

眼科医になって、23年目の初体験です。

9月15日の10時頃、もっとも受付の混雑し始める時間帯に、突然、一人の男が、“右目で左目に虫がおるのが見える”、とやや大きな声を出しながら受診して来ました。「視力なんか測らんでいい」 と言う。「また、初診の場合の一般的な眼科の検査を拒否するやっかいな人種がやって来たのか」、とカーテン越しに私は少し構えると同時に頭の中では、「飛蚊症の事かな?」、といつものとおりに考えました。なお、自分の医院はカーテン2枚で受付と診察室が並んでいます。
 受付の女性も少しとまどっているようでしたが、何を言っているのか理解できず、ほうほうのていで、男性検査員にカルテを回しました。しばらくして彼も「視力を全く測らせてくれない」、と言って診察室へカルテを持って来ました。中待ちで、「虫がいなくなる、早く診てくれ!」、と叫ぶので、




結膜嚢内の蠢く虫体

位相差顕微鏡弱拡大

順番待ちの方々にお断りを言って、診察室に入ってもらいました。で、できるだけ平静に視力その他のデーターもないまま診察を始めました。細隙灯顕微鏡で一通り診て、何も異常がない、虫がおるという左眼の眼底を診始めました。私は飛蚊症だろうと、最悪、出血か網膜裂孔だろうと考えていた。意外にも、「眼玉の中じゃない!」と叫ばなかった。素直に眼底は指示に従って診せてくれた。網膜周辺部が汚かったので、「おそらく大丈夫でしょうが、もしかしたら網膜に裂孔が開いているのかもしれないから、目薬を入れて、瞳を開いてもう一度、眼底を診た方がいいでしょう」と言い掛けたら、「違う!、会社の他の人も自分の左目に虫が動いているのがみえると言うし、自分でも右目で見えるんだ」と言う。この時、左手に鏡か何かを持つ仕草をしたので、「え!飛蚊症でなくて、結膜嚢にいるという意味か?」と合点しました。    

 再々度、細隙灯顕微鏡で診察を始めました。何と!いるではないか!
あれほど、痛いぐらい結膜嚢を探った時にはいなかったのに、写真のような細長い、白い虫が蠢いているではないですか?
すぐに捕ってあげればいいのですが、私も驚いて、断りを言って、顕微鏡写真を撮らしてもらいました。
ビデオ撮影も試みたのですが、あわてていたために失敗しました。
採取して生理食塩水に漬しますと長ーく伸びて蛇のごとくくねっていました。

位相差顕微鏡の拡大
虫体内幼虫、おぞましい!「何じゃろう?」 「名前を教えてくれ、たけしの番組でやっていた体中を動き回る寄生虫ではないか?自分は上海にも仕事で良く行くし生魚も現地で何回か食べたから」と言う。「調べておきます」と言って、一件落着となりました。
大学の友人を探して、皮膚科の先生を紹介してもらって、位相差顕微鏡でまだ生きている虫体を観察すると、それはそれは、ぎょ!とするぐらい気持ちの悪い渦巻状の物が体に満たされていました(写真)。何人かの先生を捕まえて、何じゃろうと首をかしげていると、この間、自分も診たと言って、正体がわかりました。
その名前は、東洋眼虫
1.体長8〜16mmの白色の小線虫
2.犬、猫を最終宿主として、その結膜嚢に寄生する。
3.西日本、特に九州に多い。
4.数匹存在するのが普通である。
5.犬の眼脂を好んで摂食するショウジョウバエの1種のメマトイが、たまたまヒトの眼瞼などに止まった時に感染すると考えられている。
6.幼虫が成虫になるには、3〜5週間を要す。
7.眼瞼皮下腫瘤や前房内(眼球内)に迷入した報告もある。
後日談、この方は、また2週間して、もう1匹いると言ってこられました。今度は、上眼瞼の結膜嚢にいました。そして、お礼にと言って、今年、最初で最後の大きなまつたけを頂きました。
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